ドイツ対スペイン

リアルタイムでは見れなかったのでNHKBS1での再放送とNHK総合でのダイジェストで見た。結果は知った上で。私はドイツが2-0で勝つと予想してciaoqoo氏にメールまで送っていたのだが見事に外れた。パスをまわして攻め立てるスペインに対して自陣でしっかり守り続けるドイツ。その姿はまさに籠城戦。これまでのドイツは守備と攻撃のバランスが高いレベルでとれており、風林火山という言葉がぴったりだった。しかしこの試合ではスペインのパス回しに翻弄され、ボールを奪ってもカウンターが決まらなかった。負けた理由はよくわからない。ミュラーに代わって出場したトロホウスキが悪かったということはないし、スペインも決定機をいくつか外した。両チームの力にはほんのちょっとの差しかなかったか、もうほとんど運とかツキの差で1-0というスコアになったのじゃないか。
スペインが攻撃サッカーなのに「ウノゼロ」の試合が多いとかであれこれ言われているが、サンフレッチェサポーターから言わせてもらえば全然違和感ない。攻撃的なパスサッカーだから点がバカバカ入るようなもんでもない。むしろ守備的なカウンターサッカーを採用するチームが、結果的に3-0とか4-0で勝つなんてことは十分にある。なぜなら守備的なチームが先制した場合、相手は堅い守備をこじ開けて同点に追い付くため人数をかけて攻める必要があり、その隙をつかれてさらに失点を重ねるという泥沼パターンがあるからである。それに比べればパスサッカーを採用するチームに対しては、パスを回させておくという対応は十分にあり得る。パスがいくら回っても点にはならない。バイタルエリアだけがっちり固めておけばよいのである。こうなると攻め側がゴールをあげるのはかなり難しい。その結果、勝っても1-0というのはしばしばあり得る。
前半40分頃、サンフレッチェを見ていれば違和感はないが、そうでない人には違和感があると思われるシーンがあった。ドイツがゴール前、バイタルエリアを中心にがっちり守っており、スペインはくさびの縦パスを打ち込みたいのだがそうできない。ピッチ上、相手ゴール側3分の1といういわゆるアタッキングゾーンでのやりとりだったのだが、スペインはGKまでボールを戻して攻撃を組み立てなおした。そのシーンでNHKの実況の人と早野さんは「GKまで戻しましたねぇ」的なことを言っていたが、ここは戻すしかないのである。このときドイツゴール前にはパスを打ち込むスペースなど皆無であった。これでは攻撃のしようがない。一度ボールを戻して、相手の陣形を引きのばしてスペースを作らせてから、再びくさびを打ち込む場所を探し始めるのは理にかなっている。てなわけで広島のサッカーを見ているとスペインの攻撃の哲学は非常に楽しい。しかも具現化されるレベルがはるかに高いのでため息が出る。パスがミスらない、ボールキープできる、ロングパスも通る。攻撃を「創る」のが見られるサッカーは楽しい。
これで決勝はオランダ対スペイン。これならスペインに勝ってほしいかな。あとスペインの勝利を予言したドイツのタコ「パウル」がドイツ国民の総叩きにあっており「丸焼き」の危機らしい。日本ならたこ焼きだが、ドイツだとフライとかカルパッチョか?むしろDFBで買い取って国際試合のたびにお告げを聞いたらよいのではないか。

オレンジの呪縛――オランダ代表はなぜ勝てないか?

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