ウルグアイ対韓国

ウルグアイのサッカーはしっかりした守備から前線3人で縦に早く攻める川崎フロンターレのようなタイプ。南米はブラジル以外、伝統的にこのタイプである。アルゼンチンは前線にタレントが豊富で、監督もマラドーナなので戦術うんぬんではないところがあるし、チリはいまビエルサ監督なので当てはまらないのだが、ウルグアイはこの点で完全に伝統的な南米スタイル。それにしても守備が固い!韓国はコンディションが落ちてきたのか、豊富な運動量を活かしてチーム全体で押し上げながら、人数をかけてダイナミックに攻め上がる形が見られない。全体的に緩慢な感じ。それでもバイタルエリアまでは到達するのだが、そこまでいくとウルグアイの守備陣がワラワラーッと寄ってきてボールホルダーを取り囲んでしまう。ボールを奪うと素早く縦パスを入れ、前線の3人でパパッとシュートまでいってしまう。リスクを最小限に抑えつつ効率的にゴールへと向かうスーパーリアリズム
試合は前半8分に思いがけぬ形でウルグアイが先制。フォルランからの、ゴールラインを割ったかのように見えたクロスに韓国DF陣が誰も飛びこまない。全員がボールウォッチャーになり、時間がとまったかのよう。一人だけ動き続けていたスアレスが裏側から飛び出して角度のないところからゴール。シュートは簡単ではなかったが、何より韓国DF陣のミスであり、これはいただけない。その後はウルグアイの思惑通りに試合が進んでいく。後半に入って雨が降り始め、何が起こってもおかしくない状況。そんな中で韓国はセットプレイからイ・チョンヨンが頭で押し込んで同点。相手DFに激しく身体をぶつけながらのヘディングはまさに闘魂。後半に入って激しさが増し、身体のぶつけ合いは想像を絶するレベル。激しさに関してはいまでこそアイスホッケーやラグビーに譲るものの、サッカーはやはりボディコンタクトがモノを言うスポーツだと改めて認識した。そして雨は激しさを増すばかり。体力的にもキツくなってきた後半36分、スアレスのシュートが決まってウルグアイが勝ち越し。負ければ終わりの決勝トーナメント、試合終了も近づいてきた時間帯、そして激しい雨。この状況でしっかりとコントロールされ、かつスピードも兼ね備えたこのシュートは素晴らしい。このあとイ・ドングクにも決定的なチャンスがあったが、しっかりボールをミートできず追いつけない。結局、この差がウルグアイと韓国の差だった。
ウルグアイはかたい。守備が固い。そして手堅い。しかしそれらを実現しているのは全員の献身であった。一人ひとりが人生賭けて最後まで走っていた。それに加えて体の使い方、時間の使い方もうまく、なんと性格の悪い国か。絶対相手にしたくないタイプだ。コイツらには絶対負けたくないと思いながら、それでも負けてしまい、悔しくて夜も眠れない、そんなイメージが浮かぶ。しかしそれが現実になってしまったのが韓国だ。本当にほんの少しの差で負けてしまった。しかし後悔はないのではないか。力は出し切ったように思う。それでも力が及ばずに負けてしまう。力の差を嫌になるほど見せつけられる。やはり決勝トーナメントは厳しい。完全にガチンコ。見る側としては最高に楽しい。これでアジア勢で残るは日本のみ。相手はウルグアイと同じく南米のパラグアイ。お隣さんの雪辱を晴らすしかない。