バファナ・バファナは大人の階段上れず

南アフリカ対フランス。いずれもグループリーグ突破のためには大量得点による勝利が必要。勝ったとしてもウルグアイ対メキシコが引き分ければ突破の夢は泡と消える。アネルカが強制送還されるという前代未聞の事件によりフランスのチーム事情は最悪。明らかに空中分解している。ビジネスと色恋を混同してはならないとはセクスィー部長が常々言っていることだが、人間関係がうまくいってない状況で仕事にキレが出るわけがない。それに対して南アフリカは何と言っても地元の開催国。スタジアムに鳴り響くブブゼラの音はいつもより音量大きめで完全ホーム状態。これで奮起しなきゃ漢じゃない。
前半のはじめこそお互い様子を見るようなスロースタートだったものの、徐々に南アフリカが前がかりに攻めていく。フランスはやっぱりテンションが低いというか、覇気がない。勝つ気があるのだろうか。そんな中で前半20分にチャバララのCKからファーにいたクマロが頭で決めてゴール!南アフリカが先制!ブブゼラの音が容赦ない。さらに前半26分にはグルキュフがエルボーかまして一発レッド。これでフランスは明らかに士気が下がった。降りかかり続ける災難に夢も希望もないといった様子。南アフリカとすればこんなチャンスを逃すわけにはいかない。さらにアグレッシブに攻め続け、37分にムペラが追加点!これで2-0!しかもウルグアイが1点リードの状況。第3戦でのどんでん返しによるグループリーグ突破という奇跡への道筋ははっきりと見えた。
後半に入っても南アフリカは攻め続ける。しかし何度もゴールに迫るもののネットを揺らすことができない。これは罰が下るパターンだ。そうこうしているうちに南アフリカの運動量が落ちてくる。前半はボールを奪ったあと多くの選手が動いて、流動的に、しかしチーム全体が一気に押し上げていくという迫力ある攻撃ができていた。それをボリュームが壊れたようなブブゼラの音が後押ししていた。すぐ目の前に見えた(ような気がした)女神を夢中で追いかけすぎたのかもしれない。後半25分、マルーダに決められた失点シーンは本当にあっさりとしたもので、南アフリカは明らかに集中を欠いていた。一度失った勢いをその後も盛り返すことができず、2-1のスコアが続く。息切れしたバファナ・バファナはそのまま座り込んでしまった形となり、空しい笛の音とともに試合終了。
カメルーンエトーコートジボワールドログバといった絶対的存在がいるわけでもない。ピーナールはプレミアでは並みの選手である。にもかかわらず南アフリカは惜しいところまでいった。開催国の敗退は残念だが、存在感は十分に示した。これで突破していれば奇跡であり伝説になっただろうが、奇跡はめったに起きないから奇跡なのである。対するフランスは特別なW杯になった。もちろん悪い意味で。サッカーが人間のするスポーツだということを改めて教えてくれた。ウィイレとは違うのだよ。今大会でのフランス代表の堕落は伝説になるだろう。