スキャナー・ダークリーなど

正月休みに見たDVD。amazonで3枚3000円だったので。いずれもディック原作。
ブレードランナー クロニクル [DVD]スキャナー・ダークリー 特別版 [DVD]
ブレードランナーは言わずと知れた名作とされているもの。しかし私にはこの良さがよくわからなかった。見方が甘いのか。私が映画マニアじゃないからか。ここで描かれている近未来世界の楽しさは十分に感じた。それ以上のものは大して残らなかった。
スキャナー・ダークリーの方はブレードランナーに比べれば知名度も低いしあまり評価されていないようである。しかしこれは本当に面白かった。実写で撮った映像の上にアニメを上書きする手法で作られた映像はとても独特で、二重の意味で面白い。一つ目は、現実についての私たちの認識を揺さぶるディックの作風を視覚的に表現している点で。二つ目は、当時SFというジャンルがB級なものとしてしか評価されないことに忸怩たる思いを抱いていたディックを、やはりB級のものとして評価されないアニメによって映像化したという点で。いずれも映像特典のインタビューでこの趣旨のことが言及されている。麻薬による幻覚やスクランブルスーツの表現も含めて、この手法の効果はすごい。ただ内容は原作を読んでないとよくわからないのかもしれない。監督であるリチャード・リンクレイターのディック愛深き故にこうなっているのだが、ディックファン以外にはお勧めできない内容なのかもしれない。ちなみに一部改変があるのだが、それも監督の愛深き故のもので、不快感を感じさせるどころか新鮮な驚きと合点がいったことによる痛快さを感じさせるものになっている。
また映像特典のインタビューで「この手法を用いた映画を前に撮ったことがある」と監督が言っていた。この映画が面白かったので何を撮ったのか見てみたらウェイキング・ライフとスクール・オブ・ロックが出てきた。
ウェイキング・ライフ [DVD]スクール・オブ・ロック スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
ウェイキング・ライフも独特な映画で面白かった。スクール・オブ・ロックジャック・ブラックが好きなので見た。前者はとても内省的なフワフワした映画なのに対して、後者は誰でも楽しめる痛快な映画だった。同一人物の作品とは思えず、とても懐の深い映画監督なのかもしれない。他の映画も見てみよう。