高い城の男

久しぶりの90分授業。2コマ連続だったこともあってか腰が痛い。

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

大先輩の推薦図書。新品を買ったら装丁というかジャケ絵が変わっていた。SFといっても舞台は第2次世界大戦で日独伊の枢軸国側が勝った後の1962年。本書の初版も1962年。こういう設定のものは初めて読んだが、SFではよくあるテーマだと訳者あとがきに書かれていた。その世界の描写も物語自体も面白いのだが、文学研究者の友人を多く持つ私にはその書き方が面白かった。
物語内に「第2次世界大戦で連合国側が勝った後の世界を描いたSF本」を登場させて、「SFなのに科学のことも未来のことも書かれていないなんて変ね」などと登場人物に語らせたり、その本の作者が「高い城」に住んでいたり(それはリアル作者のディック自身に他ならないのだが)、どっちがリアルでどっちが作り話なのかなんだかよくわからなくなってくる。現実/非現実の境界線を曖昧にさせるような書き方なんてものがあるのかと感心した。