偽善エコロジー

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

こういう香ばしい本は久しぶりに読んだ。著者は自称「異端児」とのことで、環境問題にまつわる利権やウソを暴こうというその志については何も言うまい。しかし本の中でのデータの提示の仕方はあまりにも恣意的で、科学的な本というよりは政治的な本と言うしかない。データの取り扱いについては著者自身も自覚があるようだが、この本の中で納得できる部分はよくて2割ほど。そして最後には精神論を語るという、環境問題では絶対にやってはいけない結論。環境問題における事実判断の難しさ(価値判断や規範のレベルまで議論が届かない)がよくわかる本かもしれない。この本の致命的な弱点は、環境問題を取り扱う際の枠組みとして日本国内の問題として捉えていること。そりゃあ議論がおかしくなります。