メタルマクベス

マクベス予習。新潮文庫版。
マクベス (新潮文庫)
魔女やら裏切りやら血で血を洗う王位争いなど、メタルと相性の良い話。読みながらブラック・サバスが聴こえてくる。
で、読み終えたので「メタルマクベス」見てきた。
http://www.metalmacbeth.jp/
劇団☆新感線のこと、よく知らないのだがミュージカル仕立てで、MSG(Michael Schenker Group)をもじったMMG(Metal Macbeth Group)なる特別バンドによる生演奏つき、半透明のスクリーンをはじめとした舞台装置など、舞台でここまでできるのだなぁと驚いた。メタルのミュージカルというだけでお腹いっぱいです。
原作でのスコットランド王室の王位争いが2200年代の近未来に置き換えられ、それをまた1980年代に活躍した架空のメタルバンド、その名も「メタルマクベス」の栄枯盛衰とパラレルに語り、最後にそれらを収斂させる構成。古典は時代を超えるということか。登場人物がレスポールだのグレコだの楽器や楽器メーカーの名前になっていたり、マクベス解釈を魔女に語らせるメタパートも組み込むあたりがクドカンらしさだろうか。メタ語りは手塚治虫にも見られるのであっていい加減飽きた部分もあるが、原作が原作なのでお客さんも解釈には当然興味はあり、ファンサービスとしてあってよい。
休憩15分を挟んだ上映時間210分はさすがに疲れた。だってBGMがメタルですから。例えば劇団☆新感線のファンだがメタルは特に興味ない、あるいは抵抗があるという方々にとってこの作品はどうなんだろうか。お客さんの中にはナイスミドルな女性が多く見られたが。
全曲書き下ろしの楽曲は正統派ヘヴィメタルばかり。劇中のバンド、メタルマクベスが最初は演歌のマネージメント会社と契約する場面は「メタルは演歌」という本質をつかんでいる。歌詞が少しばかり笑いに走っていたのは、メタルが笑いのフィルターを通してしか受容されない日本では致し方ないか。もっと重厚な、もっと邪悪で禍々しい曲が多くてもよかったように思う。でもクドカンで笑いぬきはないか。いや、笑いぬきであんまりおどろおどろしいメタリックなマクベス劇を4時間見せられるのはさすがに厳しい。なるほど、脚本というのは客が息抜きできるように書くものなんだなぁ。せっかくなので他のゲキシネ作品も見に行こうかな。