John Chapman

APPLESEED [DVD]

APPLESEED。やはり作品が古いからなのだろうか。
ヒト対バイオロイドが地上の覇権を争うというモチーフは古典的。
そこではヒトとバイオロイドのauthenticityに関する対立軸があって、
重力に魂を縛られた地球人とスペースノイドの対立軸と同じ。

前半ではそのヒトとバイオロイドの境界が絶対的なものとして描かれているのに、
どっこい後半ではそれが相対的なものであることが明かされる。
そうなると対立軸は消滅して、本質的に同質な存在同士が何かを理由にして
争っていることが明らかになる。

相対的でしかない相違を本質的であるかのように捉え、
それを理由に（もはや理由ではないが）攻撃をするのは
「いじめ」や「差別」、「戦争」で見られる毎度おなじみの道徳的現象。

ただバイオロイドに関する「生殖機能を持たないため感情が希薄」という設定は
いかがなのものか。
というのは、私見では、感情は種の保存を促進（あるいは阻害）する他者に対してのみならず、
自己の個体の保存を促進（あるいは阻害）する他者に対しても持ちうるものだからである。
自分を守ってくれる他者に対しては愛や友情を、自分を脅かす他者に対しては憎しみを。
大体、この設定は不妊症の方々への配慮をまったく欠いているといわざるを得ない。

明日は「マインドゲーム」見ます。