Dの段

最近ドリカムをよく聴く。1990年前後の古いのがいい。若いのにようこんな歌詞が書けるね、という感じでパワーがすごい。「忘れないで」の鬼気迫る歌声には怨念を感じる。そんな若さ渦巻く歌とスタイリッシュで隙のない曲が同居していて飽きない。
で、私のiPodのDの段を見てみると、The Darkness, David Lee Roth, Deep Purple, Def Leppard, Dokken, DragonForce, Dream Theaterという感じで錚々たる面子が並んでいて自分で笑ってしまった。これじゃDreams Come Trueは居心地が悪いだろう。暑苦しくて。
ところで「どんな音楽聴きますか?」という質問は対応が難しい。私は「いろいろ聴きますが、専門はHR/HMです」と答えることにしている。この答え方は正直あんまりよくない。これだと大抵は引かれてしまうし、食いつかれてもそれはそれでさらなる対応は難しい。
これは答え方の問題ではなく答えの内容の問題である。つまりHR/HMという音楽ジャンルはインパクトが強く、かつポジティブなイメージを与えることがほとんどない。でもウソついてもしょうがないので私は先述のように答えるのである。
このようなHR/HMにまつわるイメージというか固定観念X JAPANによるところが大きい。バラエティ番組に出演するといった手段を選ばない彼らの広報活動はヘヴィメタルという音楽ジャンルの普及に大きな貢献を果たしたが、一方でとても偏ったイメージを植え付けることになった。レザーにスタッド、金髪というスタイルはL.A.メタル、ヘアメタルと言われる分派のものでしかないのだが、日本でメタルというとああなってしまった。要は珍奇なものとしてのイメージが定着してしまった。
珍奇であることを私は否定しないのだが、HR/HMというジャンルは一枚岩では全然ないのが難しいところだ。メタルの話に絞ったとしても数え切れないほどの分派が存在し、場合によっては激しく衝突する可能性もある。例えば北欧系のメロディックスピードメタルファンとアメリカのグラインドコアファンなら絶対に混ざりあわないだろう。
さてDの段のDragonForceはそのメロディックスピードメタルにカテゴライズされるかなり珍奇なバンドである。バンドのメンバーが秋葉原ファンを公言することもあってアニメ・ゲームファンからの支持も厚い。ファンタジー世界に引きこもった歌詞は慣れないと辛い。「ピロピロ」という擬音語がまさにピッタリのギターも慣れないと軽すぎると感じるだろう。そして演奏というよりはむしろエクストリームスポーツの様相を呈する激しすぎるドラミングは「メタルはスポーツ」という迷言を思い出さずにはいられない。そんなドラフォを私はたまに聴きたくなります。たまに、月に一回くらい。