おくりびと

映画「おくりびと」。アカデミー賞をとったから、というミーハーな理由から見に行く。どちらかというとまさかの受賞という感じだったようだが、映画マニアではない私にはそのへんの事情はよくわからない。モックンはとてもよかった。広末涼子は何を演じても広末涼子になってしまう点で木村拓哉だった。
納棺師という仕事の社会的地位が低いことを示唆する描写があったが、葬儀関係の仕事はそうなのだろうか。あんまり考えたことなかった。火葬場のロケーションには云々、というのは聞いたことあるが。
材料が納棺なので当然お通夜やお葬式のシーンが多く、涙の絶えない話なので映画館全体がお通夜のような雰囲気。悪い意味ではない。モックンと広末涼子の爽やかなキャストが織りなす、いろいろと腹に響くようなヘヴィなお話。これが温水洋一室井滋だったらまったく別の映画になっていたことだろう。
個人的に腹に響いたのは、モックンがせっかく夢がかなったのに、それがすぐに駄目になってしまい、その夢を追うことをやめてしまった後で「解放されて楽になった」と独白するところ。「夢は逃げない、逃げるのはいつも自分」とは野原ひろしの言葉だが、こんな感じで生死に直接関係することだけでなく、人生の要点についてサラッと触りながら物語が進んでいくのが、あとになって腹に響いてくるポイント。腹がいてえよチクショウ。