優生学と人間社会

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

これも授業のネタに。「悪夢の医療史」と比べると、ずっとタブー視されてきた優生思想をポジティブに見直したいという意図が見える、かもしれない。いまでは福祉先進国と評価される北欧で断種法が制定されていた事実からは社会保障と優生思想の親和性が確認できる。全体主義的な傾向には警戒が必要とはいえ、プチ整形などへの一般的な肯定感、出生前診断へのポジティブな評価などを考えれば、個人主義に基づく優生思想の盛り上がりが感じられるはず。それに対する警鐘を鳴らす意図もあると思うが、それは成功しているというよりはむしろ「あ、そんな便利なことできるんだぁ」と助長してしまいかねないように思う。