貧困大国アメリカ

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

9・11以降一気に加速した新自由主義政策による規制緩和・民営化が貧困をもたらしてきたプロセスと現状を、教育、福祉、医療、軍事それぞれに関してまとめた書。貧乏人は学校にも行けず、ハンバーガーばっかり食べ、病院にも行けず、騙されて戦場に連れて行かれるという涙目にならざるを得ない現状。中学生で英語を覚えたてのころ、あるいはHR/HMばかり聴いていた高校生のころ、本気でアメリカ人になりたいと思っていた身からするとあまりの落差にドン引きする。
学校が民営化してコストカットのため給食メニューはハンバーガーにポテトにチョコレートミルク。さっすがオシャレ!って病気になるわい。やっぱり人件費削減で医療従事者はとてつもなく忙しい。あれ?ER的なカッコイイお医者さんは?きわめつけは戦争請負企業の存在。「民営化された戦争」ってメタルギアソリッド4のテーマそのもの。
格差の拡大、労働環境の悪化、ワーキングプアだのネット難民だので日に日に存在感を増していく日本の憲法25条。これ学校でもっと時間かけて教えた方がいい。広島の学校だとどうしても9条にスポットが当てられてしまうが、本書で日本人の米軍兵士が述べているように(187)、順番としては25条(生活)が9条(平和)に優先しなければならない。衣食足りなければ礼節など考えられないのだから。
ちなみに日本でも高校生相手の自衛隊の勧誘が増えてきているそうで。私も入隊しちゃいなYOとか言われそうなわけで。