理性はどうしたって綱渡りです

理性はどうしたって綱渡りです

理性はどうしたって綱渡りです

前半は論理矛盾やディレンマ、パラドックスをとりあげ、
解決が困難と思われるそれらを前にしたときに
きちんと考える方法を教えてくれる。
存在の根拠に関して形而上学を要請したくなるか、
あるいは無根拠を誇張して懐疑論に陥るか、
こうした真逆の二方向へ進みたくなるのは理性の本性であり困ったところなのだと、
ピュロン主義、デカルト、ヒュームをとりあげて述べていくのが中盤。
解決困難と思われる二項対立が
理性の作り出した幻想と言えるものであることを踏まえて、
そのような幻想は概念を非概念的なものの制約の下に置かなければならない
というカントの指摘を破ったことによるのだとして、
ものごとを考えるときに現実という足場を失うことの
危険性を改めて教えてくれる。
6章は「好みの問題」と題して、美的価値、倫理的価値に関しても
書いてくれている。相対主義に陥らず、普遍的な価値に関する説明に
たどりつくための一つの方向性を少しだけ示してくれている。
やっぱり二次的性質出てくるんだなぁ。
著者が「批評理論について書かれた最良のもの」として引用している
ヒュームの「好みの基準について Of the Standard of Taste」読んでみようかな。